ゲーミングPCはシャットダウンしないほうがいい?スリープとの使い分けと注意点も解説

ゲーミングPCはシャットダウンしないほうがいい?

ゲーミングPCは高価な買い物なので、できるだけ長く使いたいと考えている方も多いのではないでしょうか。

中には「ゲーミングPCって毎回シャットダウンしないほうがいいん?スリープが普通なん?」といった疑問を持たれている方もいらっしゃるかと思います。

SNSでも様々な情報が飛び交っていて、どれが本当なのか迷ってしまいますよね…

本記事では、現役エンジニアの筆者が「ゲーミングPCはシャットダウンしないほうがいいのか?」に答えつつ、スリープとの使い分け方やシャットダウン時の注意点についても解説します。

目次

ゲーミングPCはシャットダウンしないほうがいいのか?への回答

結論:シャットダウン、スリープどちらを使ってもいい

結論として、シャットダウンしないほうが良いということはなく、どちらを選んでも問題ありません。状況に応じて、シャットダウンとスリープを使い分けるのが良いです。

その理由は次の通りです。

  • 理由①:現代のゲーミングPCはシャットダウンかスリープの選択は寿命にあまり影響しない
  • 理由②:シャットダウンとスリープの消費電力(電気代)の差はごくわずか

以下、それぞれの内容を詳しく解説します。

理由①
現代のゲーミングPCはシャットダウンかスリープの選択は寿命にあまり影響しない

昔々20年程前であれば、頻繁なシャットダウンや起動がHDDの寿命や電源ユニットに悪影響を与えるとされていました。しかし、現代のPCパーツは技術の進歩により、耐久性が大幅に向上しています。特に、SSDはHDDに比べて物理的な可動部品がないため、シャットダウンやスリープによる影響が非常に少ないです。

スリープにおける書込み量節約への貢献度は超小さい

SSDの耐久性を示す指標の一つに「TBW(Total Bytes Written)」があります。これは、SSDが寿命を迎えるまでに書き込むことができるデータの総量の目安を示しています。

たとえば、ハイエンドモデルのゲーミングPCで考えると、SSDのTBWは600 TBから1200 TB程度です。

色々仮定してざっくり計算してみます。

  • 1回のシャットダウン時の書き込み量を適当に5 MB
  • 年間のシャットダウン&起動回数: 365 回

と仮定すると、

年間の書き込み量: 5 MB × 365 回 = 1825 MB ≈ 1.8 GB

になります。

仮に、600 TBW(600,000 GB)を寿命とするSSDを使用している場合、1.8 GB/年の書き込み量が寿命に対してどの程度の影響を与えるか計算すると、

600 TBWに対する割合: 1.8 GB / 600,000 GB ≈ 0.0003 %

これを元にすると、1年間のシャットダウン/起動による書き込み量は、SSDの寿命のわずか0.0003 %に過ぎません。これにより、シャットダウンやスリープの選択がSSDの寿命に与える影響は非常に小さいことがわかります。

感覚を掴むためのざっくり計算でしたが、余裕で無視できるレベルですよね。

理由②
シャットダウンとスリープの消費電力(電気代)の差はごくわずか

もう一つの理由は、シャットダウンとスリープの消費電力(電気代)の差が非常に小さいことです。

スリープモードの消費電力

スリープモードでは、PCは低消費電力状態に移行し、消費電力は稼働時の1%程度まで抑えられます。一般的なゲーミングPCの場合、スリープモード中の消費電力は約1〜5 W程度です。

シャットダウン時の消費電力

シャットダウン時には、PCの大部分が完全に電源オフになりますが、マザーボードやネットワークインターフェイスカードなど、一部のコンポーネントは微量の電力を消費します。1 W未満としておきましょう。

消費電力の比較

ワット単位ではイマイチ実感がわかないかもしれないので、電気代で言うとどれぐらいなのか円換算していきたいと思います。

とりあえず1年間の運用コストに換算してみます。仮にスリープモードの消費電力を平均2 Wとし、シャットダウン時の消費電力を0.5 Wとします。

  • スリープモード: 2 W × 24時間 × 365日 = 17.52kWh
  • シャットダウン: 0.5 W × 24時間 × 365日 = 4.38kWh

この差は、年間で約13.14kWhです。電力料金を1 kWhあたり20円と仮定すると、年間のコスト差は電気代約262.8 円となります。1年スリープ運用でもその電気代はコーヒー1杯分いかないぐらいなんですね…

ということで、消費電力の観点からも、状況に応じてシャットダウンとスリープを使い分けるのがいいのではないでしょうか。

おすすめの運用方法

シャットダウンとスリープを使い分けるのがおすすめ

利便性を考慮して日中の短時間の離席時(1、2時間以内等)にはスリープを使用夜間や長時間使わない時にはシャットダウンという使い分けがおすすめです。なぜなら、スリープモードの消費電力は非常に低く(約1 W程度)、電気代への影響はほとんどありませんし、パーツへの影響も大して無いからです。

シャットダウンとスリープの基本的な違いを整理してみましょう。

シャットダウンの特徴

シャットダウンは、PCを完全に電源オフにするため、長時間使わない場合や夜間には最適です。

現代のSSDは耐久性が上がっているため、シャットダウンや起動による寿命への影響は心配しなくてOKです。

シャットダウン
  • PCの電源を完全に切る
  • メリット:電力消費最小、電源供給の不具合や落雷などによる突然の電源断の心配無し
  • デメリット:起動に時間がかかる
  • おすすめの使い方:寝る前や旅行前など

スリープモードの特徴

スリープモードは、PCをすぐに再開できるため、短時間の離席時に非常に便利です。スリープから復帰する時間は通常数秒程度で、すぐに作業を再開できます。

スリープモード
  • PCを一時的な低電力状態にする
  • メリット:素早く再開可能
  • デメリット:完全には電源が切れない、微量の電力消費が続く、電源供給の不具合や落雷などによる突然の電源断によるリスク有
  • おすすめの使い方:数分や数時間の離席時など

何が何でもゲーム時間を1秒でも多く確保したいという人は基本スリープ運用でもいいのかもしれませんね。(自己責任ですが笑)

長時間スリープにするリスク

スリープモードは便利な機能ですが、長時間利用する際には注意が必要です。

長時間スリープ状態にしていると、落雷や停電などによる突然の電源断のリスクが高まります。電源が突然切れると、作業中のデータが失われたり、最悪の場合はハードウェアに悪影響を及ぼす可能性があります。

作業中のデータ損失

保存していない文書、編集中の画像、ゲームのセーブデータなどが失われる可能性があります。

重要な作業時は定期的に保存するのと同じ感覚で、未保存のままスリープに移行するのはなるべく避けておくと良いでしょう。

ハードウェアへのダメージ

突然の電源断が発生すると、Windowsイベントログに「Kernel-Power 41」というエラーが記録されることがあります。このエラーは、PCが予期せず再起動したときに発生することがあります。

Kernel-Power41のエラーログ
Windowsイベントビューアーに表示されたKernel-Power 41エラーのスクリーンショット

このようなシステムエラーが起こると、特にHDDやSSDなどのストレージデバイスが影響を受けやすく、寿命の短縮につながる可能性があります。

シャットダウンの時の注意点:高速スタートアップ機能は無効にしておく

以外と知られていないのですが、簡単に言うとWindowsのシャットダウンには以下の2パターンあります。

  • 次回起動に備えてシャットダウン直前にメモリ等の情報をディスクに保存する(高速スタートアップ機能
  • 次回起動のことは考えずにメモリ等の情報をクリアする(完全シャットダウン)

初期設定では高速スタートアップ機能が有効になっていますが、これは無効にしてシャットダウンすることをおすすめします。

このセクションでは高速スタートアップ機能を無効化した方がいい理由と無効化する方法を紹介します。(無効化は簡単にできます!)

高速スタートアップ機能を無効にしたほうがいい理由

理由は以下の2点です。

  1. SSDだと高速スタートアップの恩恵はあまり受けられない
  2. 高速スタートアップ機能はメモリがクリアできないことの弊害を受ける可能性がある

以下それぞれの解説です。

理由①SSDだと高速スタートアップの恩恵はあまり受けられない

SSDはHDDに比べてアクセス速度が非常に速いため、起動時間の短縮効果はすでに大きいです。そのため、高速スタートアップ機能を使用しても、起動時間の差はわずかです。むしろ、SSDに不要な書き込みが発生することで、寿命に影響を与える可能性があります。

理由②高速スタートアップ機能はメモリがクリアできないことの弊害を受ける可能性がある

Windowsの高速スタートアップ機能は、システムの一部をメモリに保存するため、起動時に一部のデバイスやドライバーが正しく動作しない可能性が出てきます。

不具合が出たときに再起動して直るのは、メモリなどの状態が一度クリアになるからであって、それと同じ効果をシャットダウンにも期待するのであれば高速スタートアップ機能は無効にすべきです。

高速スタートアップ機能を無効にしてシャットダウンする方法

高速スタートアップ機能を無効にしてシャットダウンつまり完全シャットダウンする方法は超簡単です。

完全シャットダウンする方法

SHIFTキーを押しながら、シャットダウンボタンをクリックするだけです。

Windowsのシャットダウン選択ボックス
SHIFTキーを押しながらシャットダウンをクリックで完全シャットダウンできる

毎回SHIFTを押すのがめんどくさいという場合は、デフォルトの設定を完全シャットダウンに変更するという手もあります。

完全シャットダウンをデフォルトにする方法
STEP

コントロールパネルを開く

「こんと」まで打ったら出てくる
STEP

「ハードウェアとサウンド」をクリック

ハードウェアとサウンドをクリック
STEP

「電源ボタンの動作の変更」をクリック

「電源ボタンの動作の変更」をクリック
STEP

「現在利用可能でない設定を変更します」をクリック

「現在利用可能でない設定を変更します」をクリック
STEP

高速スタートアップ機能を無効にする

「高速スタートアップ機能を有効にする」のチェックを外して変更の保存をクリック。

高速スタートアップ機能を無効にする

ゲーミングPCの寿命を延ばすためには

結局のところ、ゲーミングPCの寿命を延ばすために大事なのは、メンテナンスや適切な使用環境なのです。

以下の基本的なポイントは押さえておきましょう。

  • ホコリの除去
    定期的にPC内部のホコリを除去することで、冷却性能を維持できます。特に、ファンやヒートシンクに溜まったホコリは定期的に掃除しましょう。年1回の清掃でもかなりのホコリがとれるかもしれません。ホコリを侮ってはいけない。
  • 適切なスペックの選択
    PCを使用する用途に応じた適切なスペックを選ぶことが重要です。高負荷の作業には高性能なCPUやGPU、十分なメモリ、ストレージ容量、電源ユニットを搭載することで、ゲーミングPCの寿命を延ばすことができます。
  • 適切な使用環境
    高温環境や、通気口を壁際で塞がれる配置での使用は避けましょう。また、定期的にWindowsや使用ソフト等のアップデートを行うといったメンテナンスも大切です。

まとめ

以上の内容をまとめておきます。

ゲーミングPCはシャットダウンしないほうがいいのか?への回答は「シャットダウン、スリープどちらを使ってもいい」です。理由は、以下2点。

  • 理由①:現代のゲーミングPCはシャットダウンかスリープの選択は寿命にあまり影響しない
  • 理由②:シャットダウンとスリープの消費電力の差はごくわずか

それよりもホコリやスペック、使用環境を気にするべき!

利便性を考慮したおすすめの運用
  • 日中の短時間の離席時(1、2時間以内等)にはスリープを使用
  • 夜間や長時間使わない時にはシャットダウン
シャットダウン時の注意点
  • 高速スタートアップ機能は不具合防止のため無効にしておくこと。
  • 理由①:元から高速なSSDは恩恵を受けにくいため
  • 理由②:高速スタートアップ機能はメモリがクリアできないことの弊害を受ける可能性があるため
  • 無効化する方法:SHIFTキーを押しながら、シャットダウンボタンをクリックするか、コントロールパネルから設定を弄るかのどちらかで可能
長時間スリープにするリスク

長時間スリープ状態にしていると、落雷や停電などによる突然の電源断のリスクが高まります。
電源が突然切れると、作業中のデータが失われたり、最悪の場合はハードウェアに悪影響を及ぼす可能性があります。

本記事が参考になれば幸いです!内容が参考になったらぜひSNSで共有してください!

FAQ

毎日シャットダウンする必要はありますか?

毎日のシャットダウンは必須ではありません。シャットダウンとスリープを使い分けましょう。
利便性を考慮して日中の短時間の離席時にはスリープを使用夜間や長時間使わない時にはシャットダウンという使い分けがおすすめです。
また、シャットダウン時には高速スタートアップ機能は無効にしてメモリなどの情報がクリアされるようにしましょう。

スリープ中の電力消費(電気代)は気になるレベルですか?

スリープ中の電力消費(電気代)は比較的少量ですが、長期不在時は落雷など突然の電源断のリスクもあるためシャットダウンをおすすめします。

パソコンでの作業効率を上げるにはマルチディスプレイがおすすめです。

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